恩人→彼氏
助けてくれた貴方
「入学した時から好きでした!!」
あたしは今日、卒業した先輩に告白した。
「ごめん」
そしてフラれた。
「そ、うですよね・・・すいませんいきなり」
そう言ってあたしは全力疾走で中庭を出た。
やっぱりダメだった。
きっぱりフラれた。
そりゃそうだ。
あたしブスだし。
そんなことを考えていると横から車が走ってきた。
やばっ!体が動かな・・・ッ!!
反射的に目をつぶったその瞬間・・・
誰かに腕を引っ張られた。
あたしは誰かに腕を引っ張られたおかげで助かった。
「ぃてて・・・おい大丈夫か?」
その人はあたし達と同じ華南山高校の制服を着た男子だった。
「は、はい!すみません・・・ありがとうございました!」
ん?なんか見たことある顔だ。
「ったく・・・気をつけろよ?」
って、6組の市原くんではないか?
「う、うん。ありがとう。」
数秒の沈黙の後、市原くんは言った。
「何があったか知らねぇけど・・・元気出せ」
そう言ってニカッと笑う市原くん。
・・・ん?そんな事言うってことは泣いてたのバレたのかな・・・?
こんな酷い顔見られたなんて、最悪だ・・・。

時は過ぎ去りあたしは高校二年生の新学期を迎えた。
今、中学からの親友、小室未来とクラス発表の紙を見ている。
「う~ん・・・見えない」
「待ってね、今見てあげるから!」
と未来に言われる。
未来はあたしより10センチくらい身長が高い。
特別、背が小さいってわけじゃないけど、背の高い未来が少しうらやましかった。
「あ!私達、同じクラスだよッ!2組!」
そう言われ素直に嬉しかった。
未来とは中1の時からずっとクラスが一緒だった。
今年も同じクラスで嬉しい。
「他に誰か仲良い人いるかな~?」
人が少し減ったおかげで、あたしも直接確認が出来るようになった。
「また出席番号3番かぁ・・・」
そうあたしの苗字は板倉。
もう3年連続、同じ番号。
いい加減この数字をプリントに書くのも飽きた。
ふと、あたしはある一つの名前が目に止まった。
“市原日向”
そう、この人はこの前の命の恩人。
なんだろ。この気分・・・。


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