ぱちん!
「で、話って何だ?」
テーブルを挟んで、向かい側に座る秀さんに、父がにこやかに聞いた。
私を真ん中にして、左にお父さん、右にお母さんが座っている。
「実は、俺……」
途端に重苦しい雰囲気を感じて、嫌にドキドキし始めた。
…なんだろう、これが嫌な予感?
「就職先が決まったんです」
「……へっ?」
予想外の内容に、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
就職って、それと私となんの関係があるんだろう。
「まあ!良かったわね。どこなの?」
「楓ちゃんの通う、諸星第一高校の国語科です」
「ほお、それで楓に重大報告だったわけか!良かったなぁ楓っ」
わはは!と背中を思いっきり叩かれたけど、私は硬直してしまって、なんの反応も出来なかった。
確かに学校でも会えるのは嬉しいよ、でも……先生って。
秀さんからの告白は、私の頭を悩ませるものでした。