ぱちん!

Story*02 新しい関係



「楓ちゃん!」


翌朝、昨日の事が未だにショックで、ぼんやりとしながら通学路を歩いていると、後ろから秀さんが駆け寄ってきた。

見慣れないスーツ姿…爽やかな笑顔……ときめく心とは裏腹に、先生なんだと実感して、複雑な気分になった。


「おはようございます!えっと…碕中先生!」

「うわあ、なんか照れるね。そうだ、折角だし一緒に行こうよ」

「はい!」


先生には敬語。まさか、秀さんにこんな堅苦しい言葉を使う日がくるなんて、思ってもみなかった。


「……なんか元気ないね?」

「え?」


明るくしたつもりだったんだけどなぁ…。
秀さんはいつも、私の変化に気付いてくれる。


「…まぁ、正直に言うと、秀さんが先生っていうのが複雑で」

「そう?すぐに慣れるよ。俺は嬉しいけどね。学校で楓ちゃんがどんな風に過ごしているか分かるし」


あ、あと成績とか!と言いながら楽しそうに笑う秀さんを見ていたら、自然と笑えてきた。


「もう、そんな事は知らなくていい!」


< 4 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop