ぱちん!
Story*02 新しい関係
「楓ちゃん!」
翌朝、昨日の事が未だにショックで、ぼんやりとしながら通学路を歩いていると、後ろから秀さんが駆け寄ってきた。
見慣れないスーツ姿…爽やかな笑顔……ときめく心とは裏腹に、先生なんだと実感して、複雑な気分になった。
「おはようございます!えっと…碕中先生!」
「うわあ、なんか照れるね。そうだ、折角だし一緒に行こうよ」
「はい!」
先生には敬語。まさか、秀さんにこんな堅苦しい言葉を使う日がくるなんて、思ってもみなかった。
「……なんか元気ないね?」
「え?」
明るくしたつもりだったんだけどなぁ…。
秀さんはいつも、私の変化に気付いてくれる。
「…まぁ、正直に言うと、秀さんが先生っていうのが複雑で」
「そう?すぐに慣れるよ。俺は嬉しいけどね。学校で楓ちゃんがどんな風に過ごしているか分かるし」
あ、あと成績とか!と言いながら楽しそうに笑う秀さんを見ていたら、自然と笑えてきた。
「もう、そんな事は知らなくていい!」