ぱちん!
「…そんな目で見ないで…」
泣いたフリをしたら、慰めるように頭を撫でられた。
あれ、なんか余計に悲しくなってきた。
「おい佐々木。テメェ邪魔だ退け」
「?!」
ずっと入口に立っていたから、邪魔なのは分かるけど…その言い方何!?
ばっと振り向くと、そこには中学からの同級生、瀬戸蒼也(せとそうや)が立っていた。
毒舌で有名なのに、時期生徒会長と言われている優秀な生徒である。
「ちょっと、そんな言い方はないでしょ」
「え、何か言った?雌ブタの話、分かんね」
「なっ…、雄ブタなら分かるって言うの?!」
バチバチと火花を散らす勢いで睨み合っていると、ゆきちゃんが間に入ってきた。
「私の前で喧嘩しないで。めんどくさいから」
その一言で、とりあえずお互いに一睨みしながら自分の席に向かったのだった。