キミが翔ける道
「見学?」




2mほど離れた所からそっと声を掛けた。

すると、驚いたように俺を見た彼女の目には涙。




「あ…高梨くん…」




鼻をずずっと啜ってから、ヘラっと笑った彼女の顔が無理して笑っているように見えた。



“何で泣いてるの?”


そう聞きたいけど…聞いて、力になってあげたいけど…聞けない自分がいる…勇気のない自分が嫌になる。


でも、聞かない方がいいのかもしれない…もし、好きな人に彼女がいたとかで泣いてるのかもしれないと思って、話題を探した。

僅かな胸の痛みを堪えながら。




「…いつもここに来て…何見てるの?」




「え…」




聞いたら…ダメだった?


彼女の瞳から戸惑いの色が伺えたため、咄嗟に思った…


失敗した…と。





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