幸せの残量─世界と君を天秤に─
「それでも私は、変わらず好きですよ?」
「………」
「照れてますね?」
「黙れ」
「ヤです。あの時の敗北感を今こそ晴らします」
「馬鹿か。馬鹿なのか」
「ちょ、刺さる。グサッと刺さります」
ガラスのハートが……!
「粉々になってしまえ」
「…ぐすん」
……巧さんのばか。
「おい」
「いや、離してくださいよ」
巧さんの膝の上から降りようとしたら掴まれた腰。
「…どこへ行く」
「粉砕されたハートを直すためにセロテープ探しの旅へ」
眉を寄せるなんて予想済みですよ。