幸せの残量─世界と君を天秤に─


「亜優美、いるのか」


カラカラとベランダの戸を開けて覗き込めば、タンクトップとショートパンツ姿の亜優美がいた。


「何してんだ」


「あーつーいー!」


「馬鹿か」


いくら夏だからって夜の外は冷えるだろう。


「風邪ひくぞ」


「ひかにゃーい」


「ああ、馬鹿だからか」



そう言ってもケラケラと笑うだけ。

何がそんなに面白いのか。


「いいから中に入れ」


「やーですー」


はあ……。

重たいため息がさっきからどれだけ出たのか。





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