幸せの残量─世界と君を天秤に─


たったそれだけの触れ合いにも関わらず、満足したように笑う亜優美を見て。


何故だか、酷く自分が馬鹿らしく思えた。



……こいつのせいだ。



いつもなら、こんなこと考えすらしないのに。


「何で酒なんか飲んだんだ…」


それさえ無ければ、こんなにも焦がれることはなかった筈なのに。



「だって…」


───そうでもしないと、言葉に、出来そうにもなかったから。



そう言った亜優美はもう既に酔いが覚めているように見えて。

されどそれを確かめる術などなかった。






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