幸せの残量─世界と君を天秤に─


──ちがうの。



首を横に振って俯いた。


「ん?」


「……しごとがー…、」


仕事って、……。


ああ。

医者なんて大概忙しいもの。
それは亜優美だってよく分かっているだろう。


だけど最近は拍車がかかったように呼び出しが多かったからな。



「わがままなんて、だめなのに…」


「…、」



そうやって、いつも我慢ばかり。


お前はどうして、




こんな小さな体でそんなにも抱え込むんだ。




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