幸せの残量─世界と君を天秤に─
「巧さんのムッツリー」
「……、酔いが覚めたのか?」
「あんなことされちゃー、酔いも覚めるってーもんですたい」
「……覚めてないな」
まったく…、世話が焼ける。
「くちゅっ…!」
「おい、亜優美。お前やっぱり寒いんじゃ…」
「さむーいですー」
そう言って更にくっ付いてくる猫、いや亜優美。
「中入るぞ」
このままだと本気で風邪をひく。
なのにこいつは…。
「えー、や!」
「嫌じゃねぇよ、バカ。風邪ひく」
「んー…」
「…おい」
もう隙間など無いのに。
さらに擦りよってくる亜優美。
……仕方ない。
明日はちょうど休みだ。
珍しくどこかへ連れて行ってやろうと考えていると、下から亜優美の声がした。