幸せの残量─世界と君を天秤に─
亜優美の未来はわからない、か。
何を思ってその台詞を口にしたのだろうか。
酔った勢いなのか、それとも前々から心に溜め込んでいたものなのか。
そんなことは知る筈もない。
すやすやと眠る亜優美に目を向ける。
…こうしていれば、ただの子どものようなのに。
どれだけのことを背負い、そして幾つのモノを棄ててきたのかなんて、
俺には。
「…ん……」
ふいに腕の中の亜優美が震え、ここがベランダだったことを思い出した。
起こさないようにそっと抱き上げ、部屋へと入る。
ベランダに小さな違和感を残して。