幸せの残量─世界と君を天秤に─
初体験というやつですよ
ピピッ
「……38度」
液晶にそう表示された体温計はたった今、巧さんから抜き取ったもの。
「……お医者さまが風邪ひくってどうなんですか」
オデコに冷えピタを張り、ベッドでぐったりとしている巧さん。
体調管理はどうしたんですかと言えば、
何故かお前のせいだと言われた。
…意味がわかりません。
「お前ほんとっ…タチ悪いな」
益々わけがわからない。
「私何かしましたっけ?」
「……もういい」
「はあ…」
そういえば、心なしか頭が痛い。
「頭が痛いです」
「気のせいだ」
え、うん。巧さんがそう言うのなら気にしないでおきましょう。