幸せの残量─世界と君を天秤に─
「あの、巧さん。とりあえずベッドに戻ってて下さい。すぐにお粥できますから」
私は正しいことしか言ってないのに。
それなのに、
「………」
どうして力を強めるんですか。
「え、巧さん。ほんとにどうしたんですか。…熱、上がっちゃいますよ?」
「……お前も、こい」
「は?いや、お粥が……」
「そんなもの、は…いいから…」
熱があるせいか、いつもと様子が違う巧さん。
「仕方ないですねぇ」
そんな巧さんをひとりにすることなんて出来なくて、結局、支えながら部屋に戻った。