幸せの残量─世界と君を天秤に─


「馬鹿にしてるのか」


「そんな。ちょっと変人だなと思ったくらいです」


「もう黙れ」


その言葉の後は必ずと言っていいくらいに唇で塞がれていたのに。

今日は普通に手のひらで覆ってきた。


……風邪を気にしてるんですか。


「……」


「……」


「……」


「…なに」


「いえ…別に」


「……」


「……」


「………言いたいことがあるなら言え」


「言ったら叶えてくれます?」


「内容により」


ふむ……。

たぶん、きっと、それが聞き入れられることはないけれど。





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