幸せの残量─世界と君を天秤に─
「キス、してください」
「…、」
「そうじゃなくて」
頭にキスを落とされれば、まるで髪に神経が通ったように敏感になってしまうけれど。
私が求めているのはそれではなくて。
「巧さん」
「…、無理」
「ですよね」
分かってました。貴方は私が風邪をひかないようにするのに一生懸命ですもん。
それこそ、私がちょっとくしゃみをしただけで体温計を渡してくるくらいに。
「むー」
「無茶言うな」
「…仕方ないですねぇ」
「……」
何だかジト目で見られているけど取り敢えず無視。