幸せの残量─世界と君を天秤に─
踏み込むには早すぎて
あれから数日後。
すっかり熱も下がった巧さんといつものように、巧さんの部屋で朝ご飯を食べていた。
もちろん、巧さんの手作りで。
「ねぇ巧さん」
「なんだ」
「今日は何時に帰ってくるんですか?」
「今日は割と早く帰れる」
「珍しいですねぇ」
「何だ。早く帰ったら駄目なのか」
「そんなことは言ってないじゃないですか」
まったく…。巧さんてばすぐ拗ねるんですから。
…熱出したときは可愛いのに。
だからといって、また風邪をひいて欲しいとは思わないけれど。