幸せの残量─世界と君を天秤に─
食事を早々に終わらせた巧さん。
漸くこっちを見たかと思うと、その瞳は、見たことがないように冷たく。
部屋の気温が2℃ほど下がってるんじゃないかと思うほど。
「亜優美には、…」
どうして、
「お前には、関係のないことだ」
どうしてそんなに、冷たい声で。
「、」
まるで、心臓が凍り付いた様。
喉に息が詰まって、声が出せない。
通り過ぎていく巧さんは無言で。
私は固まったまま、瞬きも出来ない。
パタン──と玄関の扉の閉まる音が静かな部屋に響いた。