幸せの残量─世界と君を天秤に─
……どうして、
どういう、こと。
いったい、たくみさんが。
たくみさんになにが、
「、」
カラン…。
箸の落ちた音で自分の手が震えていることに気が付いた。
ゆっくりと、震える左手で、震える右手を握りしめた。
「……たくみ、さん」
巧さん、
たくみさん。
――…巧さん。
「すき…です」
だいすき、ですから。
ギュッと握りしめた手の痛みに、唯、すがり付くことしか出来なかった。