幸せの残量─世界と君を天秤に─
持つべきものは友達なり
あれから、どうしたのか記憶は朧気。
気が付いたら学校にいて。
気が付いたら、お昼になっていた。
周りがお弁当を広げる中、食欲なんて無い私は机に寝そべるだけ。
「亜優美…大丈夫、具合悪いの?」
「かきざきー……」
頭上から降ってきた声に、手をヒラヒラとさせて返す。
「って、全然大丈夫そうじゃないんですけど」
そう言ってオデコに手を当ててくる何だか久しぶりな気がする過保護なお友達。
柿崎 由華ちん。
あれ、そういえば名前で呼んだの久しぶりかも。
「熱はないのね。頭痛くない?」
「すこぶる元気ー…」
誰が聞いても元気なんて無いような声しか出なかったけれど。
言葉にしてしまえば、全てが崩れてしまいそうで。
チラッと覗いた、柿崎の綺麗に整えられた眉が歪められたことには、気付かないふりをした。