幸せの残量─世界と君を天秤に─


「大丈夫なのに……」


「ん?何か言った?」


「…ううん。ありがと」


相手は好意でやってくれたこと。


それを無下にすることなんて出来ない。


「これどこに持ってくの?」


「職員室だって」


「オーケー。職員室ね」



……空っぽになった自分の両手を眺めながら、代わりに両手が一杯になった友達の横を歩く。



言われたことも、それすらも、


──…この両手は出来ないのか。




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