幸せの残量─世界と君を天秤に─
「ユカ?入っていいかい?」
「いいよー」
そう声をかけ、扉を開けて入ってきた人物に、私は目を丸くするしかなかった。
「ユカ、このCD返すよ」
「ゆ、…」
「はいはーい」
「ゆゆゆ…っ」
「ん?あれ、亜優美ちゃん」
「ゆ、裕司先生ー!!」
「声でか……」
耳を塞いでいる柿崎のそんな声なんてなんのその。
「は?いや、…は?」
「なぜ二回言った」
「な、何で裕司先生がここに…!」
「何でって…ここ、実家だし」
実家?
実家って何でスカ。