幸せの残量─世界と君を天秤に─
あれ、でも……裕司先生の名字は龍崎…だよね?
「ああ、うちの親、離婚してるから」
「え…?」
「あたしはお父さんで、お兄ちゃんはお母さんに引き取られたから」
そう言った柿崎の表情に変化はなくて。
笑顔なのが、不思議だった。
「僕は普段は一人暮らしなんだけどねー。今日はみたいに時々帰ってくるんだよ」
そう言った裕司先生も特に気にしている様子はない。
どうしてそんな大事な話を私に話してくれるのか。
そりゃ、兄妹って聞かされれば気になるけど。
でも、敢えて言うなら、私には関係ないことなのに。
関係、ない…って結構堪えるね。