幸せの残量─世界と君を天秤に─
透明な言葉
この世はきっと『もしも』で出来ていて。
仮定が未来を創っていく。
もしも私が
日溜まりに躊躇えば、手を引いて連れ出して。
寂しさに凍えれば、その腕で抱き締めて。
けれど、もしも
もしも泣きそうになったなら、温かい言葉なんて掛けないで。
冷たく、冷たく突き放して欲しいんです。
光の残酷さを知った瞳は、きっと眩んで見えなくなるから。
温もりを知った指先は、きっと赤く凍えてしまうから。
欲張りなこの心は、何でも知りたくて。
それなのに傷付けばもう、踏み出せなくなるなんて。
――そんな狭い世界が私の全てだったから。