幸せの残量─世界と君を天秤に─
忍ぶ影とキライな後輩
「ん……」
うっすらと目を開ければ、そこに広がるのは自宅でも、巧さんの部屋でもない。
白く、所々黄ばんだ天井。
ぼんやりする頭のまま周りを見渡すと、そこはやはり白、白シロ。たまにクリーム色。
チラチラと赤や黒が視界に入る。
既に見慣れたそこは私が好んで来る場所ではない。
ああ、そうだ。確か、発作が起きたんだった。
まさか学校でなんて。
迷惑かけたかも。そう思って、でも放課後で良かったと思い直して。ああ、けれどあの子は吃驚しただろうな――そこで再び意識は闇の中に沈んだ。
白い部屋に響くのは、微かな呼吸の音だけ。