幸せの残量─世界と君を天秤に─
「んー…」
屋上の扉の上。一ヵ所だけ高くなっている所に登り寝転がっている。
もう放課後だけど、空はまだ青いまま。
巧さんは今日夜勤だって言ってたし……別に家に帰ってもいいんだけど、気分がのらない。
けど
「暇だなあ……」
流れる雲を数えるのはもう飽きた。
いつもなら寝れるのに、今日はやけに目が冴えてるし。
だからと言ってする事もないのでまたボーッと流れる雲を眺める。
何一つ視界を邪魔するものなど無くて。
ふわふわとした気分になって。
けれど、固いコンクリートの感触に現実に引き返される。
このまま、流れて行ってしまえばいいのに…。
そんなことを考えていると、真下の扉がギイ…と音を立てて開いた。