幸せの残量─世界と君を天秤に─
……誰?
通常、屋上は立ち入り禁止。
……何で私がいるかと言うと、まあ大きな声では言えないけれど。
ともかく、ここに来るってことは普通の生徒じゃあり得ないわけで。
…松もっちゃんにバレたかな?
忌まわしき数学教師かと思ってそっと下を覗くと、出てきたのはスーツではなく制服を着た男子生徒。
但し、見た感じ『普通』ではなかった。
「わお、奇抜ー…」
彼の頭は燃えるような赤。
まるで不良のような。……てか、うん。多分不良なんだろうね。
でも、見たことないな。
あんな色、見たら忘れない筈だし。
下級生かと思って上履きを見れば予想通りラインの色は赤。
この学校は上履きのラインの色が学年毎に違うから、彼は一年生ということだ。
何で一年生がここに。
一瞬そう頭を過ったけど、不良といえば屋上だと考え直した。