幸せの残量─世界と君を天秤に─
「………亜優美」
「ん……っは、い…?」
キスをしたまま喋るだなんて何それどんなスキルなの。
「退院したら」
吐息が唇を掠めて。
クラクラする。
「……どこか連れて行ってやる」
「……………えっ?」
「反応が遅い」
「…誰のせいですか」
理不尽な言葉には思わず突っ込んでしまったけれど。
そんなことより。
「デートですか?」
「まあな」
「…本当に?」
「……嫌なのか」
「いえ、…でも珍しいですね?」
「別に…行きたくないならいいけど」
「そんなことは言ってません。行きたいです」
ただ、余りにも珍しくて、余りにも嬉しくて。
どうしていいか、わからないんです。