幸せの残量─世界と君を天秤に─
ドSですね知ってました
目を開いたとき、視界のど真ん中に捉えたのは
大きく息を吸い込む私を見て、意地悪そうに微笑む──ドSでした。
「え、ちょっと!あの、巧さん?」
「何だ?」
「何ゆえ貴方は私の上に乗っているんでしょうか」
「言っていいわけ?」
「あ、やっぱ遠慮します。とりあえず退いて下さい」
「ヤだね」
「駄々をこねないで下さいよ」
「……子供じゃねぇんだよ」
「知ってますよ。私よりも10歳も年上じゃないですか」
そう言うと、目の前の大人はいつもその綺麗な顔をしかめる。