幸せの残量─世界と君を天秤に─
「いや、だって、あんた。その子どう見ても女子高生じゃないの」
ええ、私は女子高生ですが。
「巧、あんたいつからロリコンになったのよ?」
「誰がロリコンだ」
女の人はぐいぐい巧さんに詰め寄っている。
うーん…。この人、悪気はなさそうだけど、さっきから微妙に私の心を抉っているというか…。
巧さんは何だかこの人と会ってから徐々に不機嫌になっているし。
……誰、なんだろう。
本当は、何と無くわかるけれど、それを認めるには少しばかり私は子供過ぎた。
「行くぞ亜優美」
「えっ?」
突然、巧さんに手をとられ歩き出した。
あれ…、いつの間に離れたんだろう。
気付かない内にほどけていた指に、正体不明のもやもやが心にうっすら影を作った。