幸せの残量─世界と君を天秤に─
「たくみさーん」
「ん?」
「んー」
巧さんの家に帰ってきて、いつものソファーでまったり。
…うん。いい。
「…何してる」
「ひーざまーくらー」
ソファーに座る巧さんの足に頭をのせた。
気持ちいい。
「…たくみさんの…におい…。ねむく、なりますー…。どうにかしてください」
「知らん」
でも、変わって欲しくないな。
休みの日にだけ付ける香水。
仕事のときは付けない主義らしいけど、実はいつも良い匂いだということを巧さんは知らない。
よく自分の匂いはわからないって言うけど、巧さんからはいつも柔らかい匂いがする。
それが香水で少し爽やかになるのが私のツボだったり…。
巧さんには、教えてあげないけど。
「すきだなぁー…」
巧さんの香り。