幸せの残量─世界と君を天秤に─


見詰めていたら、伝わったのだろうか。


巧さんの大きな手がそっと私の頬を包んで。


優しく、唇が重なった。


深く、深く。

重ねるだけのキス。


角度を変えて何度も合わさるそれは、ときに啄むように。

ときに、全てをのみ込んでしまうように。


息をする間もない。


「ん……っ」


耐えきれなくて小さく漏れた声。

それを合図に巧さんはゆっくりと離れた。


「はぁ……」

「大丈夫か?」

「ん…、はい」


力が抜けてぽすっと巧さんの胸に寄りかかった。


すると、また巧さんは頭を撫で始める。


今日の私はどこか変だけど、巧さんも大概だ。




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