幸せの残量─世界と君を天秤に─


でも、だって、どうしようもなく焦がれていたんだ。巧さんの特別に。


ふと手を上げて見つめた先には、照明で逆光になったリング。

見つめているうちに、訳もなくフッと笑みがこぼれた。


なんだ。なんだなんだ!

私、幸せじゃないか。


思ったよりも自分は随分と単純らしい。

なんだかもう、考えるのは面倒だ。


夜も更けて、一日が終わる。


……明日でいいか。


そのままそっと目を閉じて、明かりを灯したまま、私は緩やかに意識を沈めた。



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