幸せの残量─世界と君を天秤に─


「何だ。弄られたかったなら素直に言え」


「あ、結構です」


私が即座に断ると巧さんはふんっと鼻を鳴らしてからこう聞いてきた。


「今日は泊まっていくのか」


「いえ、今日は。……そう言えばもうこんな時間ですね、帰ります」


巧さんの膝から降りると、言わなきゃ良かった、みたいな顔した巧さんがいた。


「そんな顔されても今日は帰りますよ。昨日は泊まっちゃったし」


「今日も泊まっていけばいいだろう」


そんな顔でそんなこと言われたら……。


「萌えちゃうじゃないですか」


「燃えてしまえ」




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