幸せの残量─世界と君を天秤に─
「つまりね、あたしは同情なんて、気を遣ったことなんて、……一度もないんだよ」
「ぁ……、」
私…、そんな、何も知らないで何てこと…っ!!
「ごめっ……!!」
「でもちょっと過保護すぎたかもね」
「──っ!!」
そう言ったこの子の顔を見れなくて俯いてしまった。
…いい加減、呆れられたかな…。
そう考えていると、
「はい!」
明るい声と共に視界に映った数学の教材たち。
「…ぇ」
「半分こ、ねっ?」
顔を上げたその先には満面の笑みが広がっていた。