幸せの残量─世界と君を天秤に─
「あの、巧さん」
「何だ」
「せっかくルンルンで帰ってきた恋人に何の脈絡も無く口付けるのは如何なものかと」
しかも激しいって……。
欲求不満なんですか。
「俺はいつでも欲求不満だが」
「そのカミングアウト聞かなかったことにしても良いですか?」
私が悪かったですから。
「そんなことより」
そんなことって言ったよ。
私の死活問題を。
「どうだったんだ」
「何がですか」
面倒くさいからってはしょらないで下さいよ。
「その友達とやらとは和解したのか」
「や、別に喧嘩してた訳じゃないですって」