幸せの残量─世界と君を天秤に─
必然より偶然と思いたいの
あれは一年前。
まだ私が巧さんのことを知らなかったときの話をしましょう。
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「先生……まだ?」
「まだ始まったばかりだよ」
目の前で失笑を洩らす担当医なんて何のその。
只今私、点滴中。
点滴なんて昔からやってるんだから、そろそろ慣れてもいいはずなのに、全く慣れる気配はない。
「うぅ……」
だってなんか落ちてきてる!
ポタポタって!
「それが点滴だよ」
や、そうだけど……。
なんか、ヤなんだもん。