幸せの残量─世界と君を天秤に─
「何だその顔は。不味いのか」
「いえ…かなり美味しいですけど」
巧さんが作ったご飯を一緒に食べる。正直、巧さんの料理の腕前はプロ級。っていうかこの人何でも出来ちゃって何なのかしらねもう。
「だったら美味しそうに食え」
「これが私の全力です」
「随分チンケな全力だな」
「何を言いますか。私の中では地球で例えるとエーゲ海並ですよ」
「……意味わかんね」
いいじゃないですかエーゲ海。
綺麗じゃないですか。
行ったことないけど。
「無いのかよ」
「巧さんはあるんですか」
「当たり前だ」