幸せの残量─世界と君を天秤に─
「お疲れさまー」
やっと点滴が終わって帰れる。
「じゃあ、また来週来てね」
「嫌です」
「我が儘言わないの」
「……はーい」
可愛らしく言われたその語尾に何か圧力的なものを感じた。怖いっす。
病院を出ると爽やかな風が私を包んだ。
携帯を開いて時間を見ると、まだ2時だった。
いつもなら病院から直ぐ家に帰るんだけど、今日は久しぶりに買い物でもしようか。
ちょうど夏服が欲しいと思ってた頃だし。
私は駅に向かって足を向けた。