幸せの残量─世界と君を天秤に─


「初耳ですよ」


「言ってないからな」


「ですよね」


「……」


「……」


「話がずれただろ」


「いつものことじゃないですか」


ぱくっ、もぐ、ちょい。

ほらほら、そんなに眉間に皺を寄せると痕が付きますよ。


「お前こそ野菜を残すな」


そう反論しつつ、秘かに眉間の力を抜く巧さんに、


「胸キュンー」


「黙れ」


話が脱線して戻らないなんていつものこと。




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