幸せの残量─世界と君を天秤に─
「相原先生。すみません、ちょっと…」
「はい」
看護師さんから呼ばれて、巧さんは行ってしまった。
でも、振り向く直前
私に向けられた微笑みは流石にイケメン過ぎてドキドキした。
「これから診察なのに……」
でもまあ、すぐに治まるだろう。
そう考えていたのに、胸の動悸は速さを保ったままドクドク血液を全身に巡らせていた。
「……何でだろ…」
小さく呟いた言葉は床にぶつかって消えた。