幸せの残量─世界と君を天秤に─
私の名前だけ、呼んで下さい
「いらっしゃい亜優美ちゃん。時間通りに来るなんて珍しいね?」
1週間後、私はまた裕司先生の目の前に座っていた。
いつもなら病院に来るのが嫌で、遅刻してばっかりだったのに何故か今日は時間通り……よりちょっと早く来たから裕司先生が目を見開いている。
てか、ちょっと早く来ただけでそんなに驚かれる私って!
「いいから早く終わらせて下さい」
早く来たからって診察が嫌いなのは変わらない。
「はいはい。…あ、そうだ。亜優美ちゃんに頼みたいことがあるんだけど」
にっこりといつものように爽やかさ全開の笑顔を浮かべる裕司先生。
「…………………何ですか?」
「何いまの間!」
だって頼みごとだなんて、面倒な。