幸せの残量─世界と君を天秤に─
「というか何の話でしたっけ?」
「馬鹿なのかお前は」
「ちょ、地味に傷付くから」
そんな呆れた顔で言わないで。
「あーもう、時間ですよ?」
「だな。じゃあ、学校行くなら鍵閉めてけよ」
「そりゃ行きますよ。学生なんすから」
「サボり魔がよく言うな」
「ほらほら!じ か ん!」
「はいはい」
チュッ
軽いリップ音を立てて一瞬触れただけのキスを残して巧さんは出ていった。
……不意討ちは卑怯だと思います。
若干照れてしまっている自分を殴り飛ばしてやりたい気分になりながら、私は制服を着てローファーに足を入れた。