幸せの残量─世界と君を天秤に─
コンコン
少し躊躇いがちに休憩室の扉をノックする。
……巧先生いるかな?
「───はい」
トクン
巧先生の声が聞こえた瞬間、胸がそう音を立てた。
「………水上です」
「…入れ」
拒絶されなかったことにホッと息をついて、でもすぐに心臓が緊張でドクドクと激しく脈を打つ。
「……失礼しまーす…」
そっと扉に手をかけて、
貴方に会うため、開けましょう。
そして私の心の扉も一緒に、
今、一歩踏み出す時。
「亜優美……」