幸せの残量─世界と君を天秤に─


「………」


「何なんだ」


い、言えない……。


いざとなったら、この口が開かない。

心臓が警鐘を鳴らす。



というか、私、告白したことない。


それどころか、恋したこともない。


全部、ぜんぶ初めて。



でも


多分、巧先生は告白なんて馴れてる、よね。


私の想いなんて。


そう思っても抑えることなんて出来なくて。


「……っ…」


「、何で泣いてるんだ」


気がつけば私は、気持ちを言葉に出来ない子供みたいに涙を流していた。


「ないてっ、ない…ですっ」


「じゃあこれは何だ」


巧先生の細く長い指が私の涙を掬う。


「心のっ、汗だもん!」


「……馬鹿か」


呆れたような巧先生の声。

そりゃ、私だって心の汗は無いなとか思ったけど!







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