幸せの残量─世界と君を天秤に─


「ぁ……ごめ、なさ…」


「……」


「わた、わたしっ……!!」


「、落ち着け!」



自分でも分かるくらいに取り乱して。



「亜優美っ!」


「たくみ…せんせ、」


「何だ」


「……い、」


「あ?」


「…こわ、いんっです」




怖いんだ。


無くすことが。




───失うことに怯えるなんて、何を手に入れたと言うの?




「亜優美……」


突然私を包んだ温もりが巧先生のものだと気付くのに時間はかからなかった。



「…っ、放してっ」


「やだ」


「おねがっ、わたし、こわっ、くて、くるし…い」


胸が、苦しい。





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