幸せの残量─世界と君を天秤に─
でも、
「……私はまだ私だけのものですよ」
「………」
「………何ですか」
「……ここでそれを言うのか」
「勿論です」
だって私はまだ手に入れてないもの。
覚悟はできた。
けれど、巧先生が私のものじゃないのと同じように、私も巧先生のものではないんだ。
まだ。
「先生」
「…なんだ」
「私、巧先生が欲しいです」
「…………………は?」
「だから、私のものになって下さい」
そう言うと、一瞬固まった巧先生は目を瞬かせたあと、とても綺麗な笑顔を浮かべました。