時計の針
~お昼~
「あ、待っててくれたんだ…」
待ってと言ったのはおまえだ…
「それじゃ、屋上いこっか」
「あぁ」



「菜々…」
急に頭の上からふってくる声に少し肩を揺らす私。
奴の方を向くと優しく微笑んでいた
「って…呼んでもいい?」
「………うん」
「じゃあ俺の事は悠一って呼んで!」
「………悠一…」
「え?なんて言った?」
「悠一」
「////つ~」
「これでいいか?」
「最高」
「………」
「あれ?菜々はお弁当じゃないの?」
「面倒くさい」
「菜々らしいね」
「そういうお前はどうなんだ?」
「俺は弁当!」
「……お母さんが作ってくれるのか?」
「うん!」
お母さん…か……私にはない存在だ…
「菜々も食べてみたい?俺の母さん、料理すごくうまいんだ!」
悠一にはあって…私にはない大切な存在
「菜々?」
「何でもない」
「菜々、くちあけて?」
言われたとうり、口を開けると
「あーん」
ふざけたセリフをはきながら私の口内に
食べ物がいれられる
「どう?美味しい?」
もぐもぐ口を動かして味わう私
ゴクンと飲み込むと
「………美味しい…」
「はぁー、良かったー反応がなかったから口に合わないのかと思った…」
「悠一のお母さんに美味しかったと言っておいてくれ」
「うん!母さん絶対喜ぶよ!」
「そうか…」
お母さんの喜ぶ顔か…
私もお母さんが喜ぶ顔を見たくて毎日頑張ってたな…
「菜々?どうしたの?さっきから…具合悪い?」
「いや…大丈夫」
「そう?あんまりむりしないでね」
「うん……」
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