フラワーデイズ
日曜日の動物園は子供連れの夫婦や、若いカップル、何かの団体などで賑わっている。

私は葵が迷子にならないように、しかっりと手を握っていた。

葵は色んな動物を見て、キャッキャッと笑っている。

この幸せが永遠でありますように…と、心の中で呟き、最愛の娘と夫を見つめる。

パパも楽しそうに葵と笑っている。

「ママ!次はあれ!」

「どれ?えっ…あ、あれ?!」

前方の恐ろしい生物を見て、私の声が裏返った。

急に足を止めた私を葵が不思議そうに見上げる。

「ママ?どうしたの?」

「えっと…ママはちょっとパス…かな?」

「パス?」

ヤバイ…

ダメ…

私…あれ苦手なの!!

パパがしゃがみ込んで、葵に説明する。

「葵、ママはヘビが苦手なんだ」

「ママ、ヘビさんダメなの?」

まだあどけない表情で問いかけてくる我が子に対して、私は全力で拒否の意思を表明した。

「ダメ!ママには無理!絶対ダメなの!」

「おい、そんなに拒否らなくても…」

「ダメなもんはダメなの!とにかくダメなの!」

「ったく、分かったよ。お前はそこのベンチに座って待ってろ。俺は葵と見てくるから」

「…うん」

ヘビ(正確には爬虫類)のコーナーに向かうパパと葵を見送って、私は近くのベンチに腰を下ろす。

2人の姿はあっという間に、人混みの中へと消えていった。

ヘビが大丈夫なんて、葵はたくましい女の子に育つわね。

まったく、まさか葵にパパの爬虫類好きなところが遺伝しちゃうなんて。

これ以上、葵が爬虫類にハマりませんように!

どうかミツバチ君だけに夢中になりますように!


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