フラワーデイズ

Scene 3

誰かに肩を揺すられて、私は目を覚ました。

「おい、もう家に着いたぞ」

「えっ?」

車の窓の外は薄っすら暗くなっていて、腕時計は6時を差そうとしているところだった。

寝たフリをするはずが、いつの間にか本当に眠ってしまっていたんだ。

「あれ?葵は?」

後ろの座席に葵の姿はなかった。

「葵ならもう家の中だ。ほら俺たちも行くぞ」

「う、うん」

「ちなみに帰る途中でケーキも買っておいたから」

「あっ、ごめんね。ありがとう」

「別にいいさ」

車を降りて家の中に入ると、葵はリビングのソファーに座って絵本を読んでいた。

その絵本にはミツバチ君が。

葵…本当にミツバチ君が好きなんだ。

今日はごめんね。

絵本を読む葵の背中に謝って、私は夕飯の支度を始めた。

キッチンに立ち、夕飯を作っている最中、私はあることを思い出した。

……あれ?

そう言えば…パパ、葵の誕生日プレゼント準備しておくってこの前言ってたけど…

ちゃんと準備できてるのかな?

っていうか、何買ったのかな?

私にもまだ教えてくれないし。

まぁ~大丈夫だろうと思いながら、私は調理を再開した。


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