フラワーデイズ
2002年5月13日

相沢家に小さくて可愛い、天使が舞い降りた。

「快…これから家族3人で幸せになろうね」

「あぁ、俺が幸せにするよ」

こうして産まれた娘の葵は、太陽のように眩しい笑顔が特徴的な元気いっぱいの女の子に育っていった。

あれから5年の月日が流れ、我が家の天使ちゃんはと言うと…

「パパ~!朝ですよ~!」

「い、痛ぇ…痛ぇよ、葵」

「こらっ!パパを踏んづけちゃダメでしょ!」

朝から大暴れの暴れん坊園児と化していた。

目を細めて眠さを精一杯アピールしているパパを、ピョンピョンとその小さな足で思いっきり踏んでいる。

その度にパパの顔が痛さで歪む。

「パパ~!起きましょ~!」

ようやく踏むのを止めたかと思ったら、今度はギリギリまで顔をパパに近づけてニコニコ笑っている。

「葵がお目覚めのチューをしてくれないと、パパ起きれないな」

トロンと眠たい瞳のパパは愛娘の葵にセクシー光線を送った。

でも、葵はそんな攻撃をいとも簡単に避け、サラリとこう言った。

「ヤダ」

……葵?

葵は無表情でパパの期待を裏切ったのだった。

私は笑いを堪えるので大変だったけど、パパはショックでショックでたまらないといった顔をしていた。

そりゃ、愛娘からキスを断られたんだから無理もないよね。

まだパパを拒絶する年齢じゃないのに。

「葵…パパにチューしてくれないのか?」

「うん!」

可愛らしい笑顔で断っても、やっぱりパパの受けたショックは大きかったようである。

父親とは時に悲しい生き物だと悟った瞬間だった。


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